サステナビリティマネジメント

当社グループにおける
サステナビリティの考え方

現在、人類は、地球温暖化、世界人口の増加、飢餓や貧困など、世界全体となって解決しなければならない社会課題に直面しています。サステナビリティが目指すのは、社会や環境の持続を妨げるこれら社会課題を解決することです。
この点、SDGsが示す2030年までに解決すべき多くの社会課題は、当社グループの経営理念、今後のあるべき姿と方向性が一致していると考えています。そのため当社グループにおいては、「事業を通した社会課題の解決」と「利益創出による成長戦略」という2つのサステナビリティの好循環の実現を目指し、持続的な企業価値向上に繋げていきます。

サステナビリティ基本方針

当社グループは、将来のカーボンニュートラルなエネルギーサイクルや循環可能な経済の在り方、あらゆる人権侵害が存在しないビジネス社会のあるべき姿を捉え、持続可能な社会の実現に向けた行動を一段と推進していくため、経営理念に次ぐ上位の規範として「サステナビリティ基本方針」を2021年10月に制定しました。また、2023年6月にサステナビリティ委員会を設置し、同委員会において他の方針・規程との整合性を図るため本方針を改訂しております

概念体系図
概念体系図

サステナビリティ推進体制

2023年6月代表取締役社長を委員長とし、社内取締役及び関連部門の責任者を委員とするサステナビリティ委員会を発足させました。同委員会は、全社的なサステナビリティ戦略の実行、その進捗管理およびマテリアリティ(重要課題)の決定などを主な役割として担っています。
サステナビリティ戦略を全社的に推進するため、同委員会事務局と関連各部署との間で積極的なコミュニケーションを図りながら問題意識の醸成や理解促進を図っています。
同委員会は、毎年2回の定例開催に加え、必要に応じて臨時開催し、議論の内容は取締役会に報告します。また、委員会の下部組織として、テーマごとに関連部署の長を責任者とする分科会を設置し、それぞれのテーマの課題の抽出、目標や実施計画、具体的対応等を協議し、推進しています。
また、より専門的・個別的なテーマを扱う「リスク管理委員会」「コンプライアンス推進委員会」とも連携しています。この2つの委員会は代表取締役社長が委員長を務めています。

サステナビリティ推進体制図
サステナビリティ推進体制図

ステークホルダーとの関わり

当社グループは、社員をはじめ、お客さま、お取引先さま、株主・投資家の皆さま、地域社会の皆さまなどすべてのステークホルダーの皆さまの要望や期待を事業活動に取り入れていくことが、持続可能な経営を進めるうえで重要であると考えています。
そのため、ステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションの充実を図りながら、情報開示・説明責任を果たし、良好な関係を構築するよう努めています。

主な課題 主なコミュニケーション方法
お客さま
  • 安全かつ高品質な製品・サービスの提供
  • 環境配慮設計の推進
  • 製品・サービスに関する適切な情報提供
  • ご意見・クレームへの対応
  • 日常の営業活動
  • ISO19001
  • 展示会への出展
  • 広告・販促資料の提供
  • お問い合わせ窓口の設置
お取引さま
  • 公平・公正な取引の徹底
  • サプライチェーンマネジメント
  • 日常の調達活動
  • 協力会社懇話会
従業員
  • 人財の育成・活用
  • 働き方の多様化
  • 労働安全衛生と健康への配慮
  • 人権の尊重
  • 人財育成プログラム、教育・研修
  • 働き方改革
  • 健康経営推進
  • ハラスメント相談窓口
地域社会
  • 地域社会への貢献活動
  • 法規制の遵守
  • ボランティア活動
  • 研修・セミナーへの参加
環境
  • 環境に配慮した製品開発
  • CO2排出量・廃棄物削減
  • 化学物質・排水の適正管理
  • 環境方針と取り組みの公表
  • ISO14000への準拠
株主・
投資家さま
  • ガバナンス経営
  • 情報の適時・適切な開示
  • 適正かつ安定的な配当
  • 企業価値の持続的向上
  • 株主総会、投資家向け説明会
  • IR活動

マテリアリティ(重要課題)特定の背景

現在、気候変動による様々な影響、資源枯渇、環境汚染といった問題を背景に、世界は脱炭素社会の実現に向け、大きな変革が求められています。また、超高齢化社会の到来、人々のライフスタイルの多様化などにより、健やかで満ち足りた、社会とのつながりを感じられるウェルビーイングな生き方がますます求められています。
当社グループでは、創業以来常にお客様と社会に誠実な姿勢で向き合い、その事業を進化・発展させてきました。今後も将来に向けて社会とともに持続的に成長するために、当社が取り組むべき重要課題を特定しました。

自社にとっての重要度
自社にとっての重要度

マテリアリティの特定プロセス

マテリアリティの特定は3つのStepに分け実施しました。
Step1としてはSDGs関連のカテゴリー95項目(環境24項目、企業統治21項目、社会性22項目、人材活用28項目)において当社グループの現況評価と課題を確認しました。

Step2では、お客さま、株主・投資家、従業員、地域社会等のステークホルダーの関心や期待、当社グループの経営理念と将来のありたい姿との関連、事業への影響などを踏まえ、サステナビリティ委員会および経営会議において重要性を評価しました。

Step3として、Step2の評価を踏まえて代表取締役社長以下執行役員が個別テーマにつき複数回の議論を重ねマテリアリティおよび目標/KPIを選定し、取締役会へ報告しました。
当社グループは、このようにして特定されたマテリアリティを経営の根幹に置き、事業戦略や個々の事業がマテリアリティに合致するかを確認し、当社の事業活動が社会に貢献していることを常に意識して経営を行っていきます。

マテリアリティの特定プロセス
STEP1
ESG課題の抽出
国内外の動向からSDGs関連項目によりセルフ評価・チェックを実施
STEP2
優先順位付け
当社グループにとっての重要度とステークホルダーにとっての重要度から優先順位付けを実施
STEP3
妥当性の確認と特定
サステナビリティ委員会・経営会議にて審議決定・取締役会へ報告

各マテリアリティを解決するための取り組み、目標/KPIを設定しています。2024年度より、目標達成に向けた進捗をモニタリングしていきます。目標や取り組みの進捗報告は、年2回のサステナビリティ委員会にて実施します。サステナビリティ委員会および経営会議での議論の内容は取締役会に報告し、フィードバックを受け、必要に応じて再度議論を行ってまいります。

当社のマテリアリティとKPI

当社は、事業を通じた社会課題解決への貢献と利益創出に向けた経営基盤の強化をサステナビリティ戦略の両輪としてマテリアリティを特定しています。

  1. (1)事業を通じた社会課題解決への貢献

    事業活動を通じたマテリアリティの展開により社会課題の解決に貢献し、人々の豊かな社会の実現と企業価値の向上を目指します。

マテリアリティ リスク(●)と機会(〇) 2030年のありたい姿 2024年度目標 2025年度目標

最先端技術の開発・
イノベーションの創出

  • 新技術の参入による既存技術の価値低下
  • 技術開発促進による競争優位性の確保
  • 先進および革新技術により豊かで夢あふれる未来の共創
  • AR/VRなどの携帯機器等に適用される光学製品向け精密加工システムの確立と拡販
    ⇒顧客評価が進み実用化に向けた取組を継続中
  • 携帯機器等に適用される光学製品向け精密加工システムの確立と拡販

環境調和型製品の開発・提供による
脱炭素社会への貢献

  • 開発および製造コストの増加
  • 環境配慮志向の高まりに伴う新市場の拡大
  • エネルギー効率、省エネ化を促進する事業の拡大
  • 省エネに貢献するパワー半導体の製造用プラズマアッシャー装置、エッチャー装置、UV装置の拡販
    ⇒売上実績53%(対前年)
  • 省エネに貢献するパワー半導体の製造用プラズマアッシャー装置、エッチャー装置、UV装置の拡販

気候変動への対応

  • 気候変動に伴う異常気象や自然災害
  • 廃棄物の増大によるレピュテーションリスク
  • 気候変動対策によるCO2排出削減、設備運用コスト低減
  • 環境方針の遵守
  • 工場の省エネ化
  • 再生可能エネルギーの使用
  • 自然資本への影響の最小限化
  • 工場設備のエネルギー使用量の可視化、モニタリング
    ゙⇒2018年度比率24%減
  • 増設工場への太陽光発電設備の設置準備
  • 省力化空調設備への補助金を活用した切替
    ⇒本館全部・工場棟一部切替実施
  • 自然エネルギーによる電力利用率20%以上
    ⇒2024年実績21.1% (2024年2月~同年12月)
  • 環境データの蓄積推進中
  • サステナビリティ環境推進グループの新設による体制強化
  • 増設する第二工場での太陽光発電設備の設置と稼働(PPA方式)
  • 省力化設備の導入検討(第二工場の機械設備等)
  • 社員教育(気候変動リスクの基礎 他)
  • 工場・出荷現場での熱中症対策に向けた各種整備

地球環境の保全・環境負荷の低減

  • 天候異常や生態系破壊による資源の枯渇
  • 廃棄物の再資源化によるコスト削減
  • 産業廃棄物の排出削減
  • 水資源の循環運用
  • 素材別による分別管理の徹底
  • 廃棄物量の可視化、モニタリング
    ⇒2018年度比率46%減
  • 環境データの蓄積
  • 社員教育
  • 循環機能付き装置の導入
  • 化学物質管理の徹底
  • 水資源循環機能付装置導入
    (第二工場でのチラー設備3台導入 水量70%削減)

ダイバーシティ、エクイティ、
インクルージョン

  • 人権問題発生による信頼の損失、事業への影響
  • 人権への配慮、環境改善に伴う社内外における信用の高まり
  • 多様で公平な運営を通じた社会貢献
  • 女性管理職比率10%以上
  • 役員/管理職のダイバーシティ強化
    ⇒女性監査役1名任用、女性総合職5名以上の登用目標に対し実績7名
  • 男性社員の育児休業取得率80%以上
    ⇒100%達成
  • 高齢者雇用活動の強化
    ⇒2024年度から60歳以上の処遇アップ実施
  • 女性社員年2名以上3年間で6名以上の採用目標
  • 男性育児休業取得60%以上維持、長期間の休業取得を促進
  • 海外人財の正社員採用促進
  • 定年後の多様な働き方を選択できるようにするための土台づくり
  1. (2)利益創出に向けた経営基盤の強化

    事業活動を根底で支える経営基盤を強化し企業価値の向上へ結び付けていきます。

マテリアリティ リスク(●)と機会(〇) 2030年のありたい姿 2024年度目標 2025年度目標

サプライチェーンの
マネジメントの構築

  • 環境と人権リスク
  • 原材料の調達リスク
  • 原材料の価格変動リスク
  • 安定的な仕入れによる納期厳守
  • サプライチェーン全体における人権尊重
  • 「サステナブル調達基本方針」の共有と浸透
  • 人権デューデリジェンスアンケート実施
  • 改正下請法への対応

ガバナンスの強化

  • コンプライアンス意識低下による腐敗
  • 不適切な対応によるステークホルダーからの信頼低下
  • コンプライアンス意識や高い倫理観の醸成による会社に対する信頼性の向上
  • ステークホルダーへの適切な情報開示による信頼獲得
  • 柔軟性と強靭性を持ったリスク管理・コンプライアンス体制の強化による重大違反事例ゼロ
  • 取締役会の実効性強化
  • 任意の指名・報酬委員会によるガバナンス体制強化
  • 多様な経営人財の育成
  • 実効的なリスク・コンプライアンス委員会による重要リスクの把握と対策
    ⇒100%達成(年2回開催)
  • コンプライアンス研修受講1回/人以上
    ⇒100%達成(elearning、ハラスメントセミナー)
  • 社外役員協議会の活性化
    重要案件の事前情報共有
  • 任意の報酬委員会運営定着
  • 経営幹部候補への教育実施
    ⇒100%達成
  • 女性役員任用(1名)
    ⇒100%達成
  • 実効的なリスク・コンプライアンス委員会による重要リスクの把握と対策
  • コンプライアンス研修受講1回/人以上
  • 社外役員協議会の活性化(重要案件の事前情報共有、次世代幹部候補との面談)
  • 経営幹部候補への教育充実化

人的資本の活性化
心身の安全衛生

  • 人財流出
  • 心理的安全性の欠如によるモチベーションの低下
  • 社員の健康維持、人財および働き方の多様化、人財育成による生産性向上とイノベーションの促進
  • 働きやすく働きがいのある会社の実現
  • 自分への期待を高め、生き生きと力を発揮できる職場の実現(採用・教育)
    従業員満足度75%以上
  • 安全な環境の構築
    大規模事故・災害ゼロ
  • 従業員の幸せ、健康寿命の伸長
  • 健康経営優良法人「ブライト500」の取得
  • 経営ビジョンに呼応した人財採用活動の強化
  • 教育環境の充実化
    一人当たり研修・講習受講費用年10%アップ
    ⇒前年比17%アップ
  • 従業員満足度68%以上
    ⇒58.4%
  • 大規模事故・災害ゼロ
    ⇒ゼロ実現
  • 健康経営優良法人「ブライト500」取得に向けた環境整備
    ⇒推進中
  • 社員教育費用のコンスタントな増額による教育レベルアップ
  • 部門別の必要資格取得に向けた補助制度拡充(カフェテリアプランの活用検討)
  • 従業員満足度調査からエンゲージメント調査へのレベルアップ
  • 健康経営優良法人「ネクストブライト1000」取得に向けた体制整備

持続可能な知財戦略

  • 当社技術の模倣
  • 他社権利の侵害
  • 開発製品の競争力強化
  • イノベーション創出に向けた推進
  • 開発人財の育成強化
    知財報奨率75%以上
  • 知財ポートフォリオ構築による価値創造への貢献
    ⇒半導体製造用装置の特許網構築と競争優位性維持
  • 知財報奨率60%以上
    ⇒報奨率60%達成
  • 先進装置における知財活用推進
  • 知財報償率60%以上